おやすみ神たち


神はどこにでもいるが
葉っぱや空や土塊(つちくれ)や赤んぼにひそんでいるから
私はわざと名前を呼んでやらない
名づけると神も人間そっくりになって
すぐ互いに争いを始めるから

コトバとコトバの隙間が神の隠れ家
人々の自分勝手な祈りの喧騒をよそに
名無しの神たちはまどろんでいる
彼ないし彼女らの創造すべきものはもう何も無い
人間が後から後からあれこれ製造し続けるから

おやすみ神たち
貴方がたったの一人でも八百万(やおよろず)でも
はるか昔のビッグバンでお役御免だったのだ
後は自然が引き受けてそのまた後を任されて
人間は貴方の猿真似をしようとしたが

いつまでも世界をいじくり回しても
なぞなぞの答えが見つかる訳もなく
創ったつもりで壊してばかり
空間はどこまでも限りなく
時間はスタートもゴールも永遠のかなた--

私は神たちに子守唄でも歌ってやろう


作者
谷川俊太郎

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  1. 读睡君4年前

    我在《今夜,我想为诸神唱一支摇篮曲》  https://mmbizurl.cn/s/LeDLJfoxf  这篇公众号文章里提到了这首诗
  2. 写评论