ダイヤモンドは雨のしずく


生まれたときから分かっていた
人生には今しかないっていうことが
悲しみはいつまでも続くけれど
涙はこぼれるたびに新しい
ぼくにはきみに話してやれる物語がない

目の前の木をみつめるだけで
ふるえるように笑った子どものころ
一日が終わると夢が始まり
そこでは誰もがわけもなく生きていた
ぼくにはきみに話してやれる物語がない

いつ死んでもいいと思っているから
ダイヤモンドは雨のしずく
別れのさびしさも映画みたいだ
忘れまいとしても明日はやってくる
ぼくにはきみに話してやれる物語がない

流れる川の源は大地にかくれている
愛しているから未来が見えない
傷つけた昨日は暦のしるし
波紋のように今ひろがる
ぼくにはきみに話してやれる物語がない


作者
谷川俊太郎

报错/编辑
  1. 初次上传:传灯
添加诗作
其他版本
添加译本

PoemWiki 评分

暂无评分
轻点评分 ⇨
  1. 暂无评论    写评论