人っ子一人いない野原に立ったつむじ風が
行き場を失って戸惑っている
気化した夥しい涙は綿雲となって
瀕死の青空の片隅に浮かぶ
草のあいだに点々と骸が転がっているが
それを啄ばむ鳥たちの姿はない
かつて音楽と呼ばれたものの気配が
気弱な背後霊のように漂っている
人々が考え語り書き継いだすべての言葉は
そもそもの始まりから間違っていた
生まれたばかりの仔犬に向けられた
無言のほほえみだけが正しかったのだ
海がひたひたと山々に近づき
星がひとつまたひとつと瞑目する
「神」がまだいるからか
それとももう死んでしまったからか
世界の終わりはこんなにも静かで美しい…
と 私は書いてみる
言葉には私の過去ばかりがあって
未来はどこにも見当たらない
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