二×十


この星から零れる言論の塵芥の上に
詩の朝靄が物憂げに漂っている

あの日指先で触れた頬
いまは白紙の上の一行でしかない

舌は語らずに舐めている
目が見損なってきたものを

心の忘れ去った一瞬一瞬が
魂に降り積もっていく(だろうか)

言葉の細道を歩き疲れて
沈黙の迷路に座りこみ 笑う

一語の深度を辞書は計れない
知性の浅瀬に語彙が散らばっている

言語は皮膚 現実の肉に貼り付く
詩は内視鏡 内臓の冥さに立ちすくむ

比喩の度し難い絢爛のあと
沈黙がし残したこと

意味が意味を呼んでいる
夕暮れの心細さに耐えかねて

夜はどこまでも更けていって
明日はその底で微かに薫っている


作者
谷川俊太郎

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